パニック症候群 Part.1

 

 パニック障害という病名は、ご存じの方も多いと思います。20年くらい前までは、不安神経症とか心臓神経症とか自律神経失調症とかいろいろな呼び方がされ、さらには「検査しても異常なし。気のせい」で終わってしまって、大変困られた方も多いです。精神科、心療内科に到達して「パニック障害」と診断されるまでに、いくつもの病院にかかったり、救急病院に飛び込んだりということが普通にありました。

 なぜそういう混乱が生じるかというと、それを体験している本人は、息苦しい、動悸がする、目まいがする、死にそうだ、など体の異変として感じるため、まずは内科に受診したくなるのが普通です。実際、本当の心筋梗塞でも脂汗がでて、息苦しくて、死にそうだと感じるわけですから当然といえば当然でしょう。 

 

問題は、そこで検査しても異常がなかった後のことです。検査では異常がないで終わられても本人にとっては「そんなはずはない、どう考えても異常な事態だ」という経験なのです。さらに混乱を招くのは、通常の精神疾患とちがって、発症当初は「身体的異常」が前面に出て、発作が治まっていれば精神的にも特別問題はないからです。

 それが、何度も発作を繰り返すうちに、自分でも何がなんだかわからなくなり、特別な原因も不明なまま、「死にそうな」あるいは「気が変になりそうな」発作が繰り返し起こるとあってはたまりません。そして、「またなるのではないか」という不安(予期不安)を感じるようになり、ある特定の場所を(本能的に)避けるようになります(広場恐怖)。

 そうなると、内科に繰り返し受診しても「気のせい」「いいかげんにしろ」状態になり、ますます混乱が深まることになります。今では、この疾患が広く認識されるようになったため、そこまでひどいことはおこらないでしょうが。

 パニック障害については、いろいろなホームページで数多く紹介されていますし、書物もいくらでも出ていますので、病気の詳細については書きません。ただ、あまり学問的過ぎる情報は回復の役に立ちにくいので、パニック障害から回復するための要点を述べたいと思います。いろいろな考え方、立場がありますので、ここにかかれているのはあくまでも一心療内科医としての考え方であると理解してください。それに症状としてはパニック障害であっても、基礎にある問題が様々ですので、その場合その基礎にある問題に焦点を当てる必要があります。ですから、ここではあくまでも、一般的に言われるパニック障害、それ以外の診断がつかないような病態の話と理解してください。

○パニック障害の症状をどう理解するか

○パニック障害からの回復を考える上で大切なイメージ
○パニック障害からの回復ステップ1・2・3
以上について順番に説明します。
           

 

(執筆者)たけうち心療内科院長:竹内 聡HPより許可を得て転載)